「体が不自由になってしまい働けない」「資産がない」「扶養してくれる三親等の人間がいない」(いても縁を切っていたり)などの理由から、生活保護を受給することができます。
しかし、体は健康だけど働いていない場合は、ケースワーカーから「就職活動をしてみたらどうです?」と就労指導を言われることがあります。生活保護の主旨はあくまでも「自立するまでの充電期間」のようなものですので、病気や怪我で働けない方、ご高齢の方などを除いては就活を促されるのは仕方がありません。ただ、「就職しなさい」「就活しなさい」というような強制力はないので、ケースワーカーはあくまでも最小限の就活を促すことしかできません。ですので、例えば「就活しないと生活保護を減額するから」とか「生活保護を打ち切ります」などというと法的にアウトです。
もちろん就職して社会的、経済的自立をするに越したことはありませんが、無理して就職した先がブラック企業だったら洒落になりません。それでメンタルがおかしくなったり、体調を崩すくらいであれば、しばらくは充電期間として生活保護を受けていても良いと私は考えます。
「働けるけど働けない」「働けるけど働かない」というのは、言葉は似ていますが、意味は全く異なります。前者はやる気はあるが就活しても採用してもらえない。後者はストレートに言うと就職する気がないということです。これは天地の差がありますが、こういった場合生活保護費の受給の打ち切りはあるのでしょうか?前者に関しては就活しても仕事が決まらないことはざらにあるので、まず打ち切りというのは考えづらいです。
後者の場合は、もしかしたら打ち切りの可能性もゼロとは言えません。くどいですが、健康的に働けない状況であれば、もちろん生活保護に依存するのもありです(国民の権利ですから)。しかし、健康的に生活し、体の状態も万全ということであれば、求職活動をするように指導が入ることもあります。それで、就職が決まらないでも就活していれば打ち切りになることはまず無いと思いますが、指導に応えず求職活動をしなければ打ち切りもありえるかもしれません。
では、自分が再就職してやり直したいと思った時にはどうすれば良いのでしょう?本気で就活に取り組みたいと考えているのであれば、ケースワーカーさんも無下にはしないのではないでしょうか?最終的には自立して生活保護から脱却してもらいたいのが本音ですからね。
ということでハローワークの担当者と就労支援員がタッグを組んで就労支援をしてくれることになります。これでササッと就職が決まれば良いのですが、そう簡単には決まらないのが世知辛い世の中。就労支援プログラムなどがあって色々と取り組みを行っているようですが、実際のところなかなか就職に結びつかないのが現状です。
「就職・アルバイトをして、少しでも自活したい!」と思っても、所持金に余裕がなければスーツや衣類、身の回りの品、交通費などは簡単に捻出できません。そこで、再スタートを切る際にかかる費用を国が負担してくれるありがたい制度として、勤労控除(就労)というものがあります。この制度を利用すれば、必要な物を揃える初期費用は、ある程度揃えられると思っても良いと思います。勤労控除には色々と種類がありますので、ざっくりと解説してみます。
➀基礎控除
上記したような衣類や身の回りの品、知識(勉強)などを負担してくれます(例:1級地33,190円が月額上限)。勤労収入8,000円までは全額控除。
➁特別控除
勤労に伴う臨時的な経費を負担してもらえます。年間収入金額の1割で、年間上限150,900円(1級地のケース)。
➂新規就労控除
新しく継続性の高い就職・アルバイトなどを行った際に、収入額から控除してもらえます。こちらは一律10,300円(就労から6ヵ月間)。
➃未成年者控除
二十歳未満の方が就労している場合、収入から一律月額11,600円を控除してもらえます。
※これ以外にも必要経費として交通費や社会保険料も控除対象となります。