離婚したからと言って、未成年の子どもがいる場合は、親の扶養義務というものは必ず発生します。女性側、男性側が引き取るに関わらず、子どもを養うのは当然のことです。ただし、元々の夫婦世帯が生活保護を受給していた場合、離婚後の養育費というものはどうなるのでしょう?
「養育費はもらえます」
というのがストレートな回答です。例えば離婚して女性(妻)が子どもを引き取ったとしましょう(世帯揃って生活保護を受けていたと仮定)。離婚してしまったからと言っても親でなくなる訳もなく、男性側(夫)にも子どもを育てる責任があります。ですので、養育費の支払い義務というものは生じます。ただし、ここで問題なのは、夫側に支払い能力があるかどうか?ということです。夫も生活保護を受給している訳ですから、正直なところ「カツカツで子どもの養育費なんて払えない」「払いたくない」と言うのが本音かもしれませんし、「払いたくても払えない」ということもありえます。
そうなってしまった場合は、妻側(夫側)で、生活保護費が支払われる口座を差し押さえするのが一番良いでしょう。自分で勝手にはできませんが、養育費の支払請求訴訟等を起こして、裁判所で正当な判決が出れば差し押さえ可能です。また、事前に合意しているのに養育費を支払わない場合でも、強制執行認諾文言付き公正証書などで行っている場合は問答無用で強制執行の申立が行えます。
※生活保護法によって権利が守られているので、生活保護の受給金額を差し押さえることはできません。しかし、生活保護費も銀行に振り込まれてしまうと、他の財産と同じとみなされることで、差し押さえが可能になります。
離婚後に夫婦の関係を完全に絶ち切りたい!という方も当然いらっしゃるでしょう。では、離婚後に夫側が養育費を支払うと言っており、きちんと払ってもらえる場合には生活保護費はどうなるのでしょう?答えは
「減額されます」
基本的に生活保護を受給している場合、受給権があるものに関してはいただかなければいけないんです。ですので、離婚後に夫側が養育費を毎月50,000円支払うということになっていれば、受給額から50,000円を引いた額が受給されることになります。ですので、生活保護費+アルファを受け取ることもなく、同じ金額を受け取ることになります。