生活保護者は医療扶助という形で診察を受けることができます。これは現金での支給ではなく、現物支給(サービス提供)という形で診察をしてもらえます。指定された病院に行けば無料で診察してもらえますし、後々請求が来ることなく国民健康保険と同等のサービスを受けられるのがメリットと言えます。ただし、医療扶助の場合はいくつかデメリットがあります。ここに挙げてみましょう。
➀セカンドオピニオンができない
普通、病気にかかって治らない場合は、別の病院で診察してもらうのは自由ですが、生活保護者は同じ科の複数の病院で診察してもらえません。要するにセカンドオピニオンが受けらないということです。もし、別の病院で診察してもらいたいのであれば、完全に病院を変えるしかありません(別の科で診察してもらうのは自由です)。
➁指定医療機関しか受診できない
ほとんどの病院で診察してもらえると思いますが、福祉事務所が指定した医療機関でしか診察してもらえません(健康保険で診察している病院であればほぼ大丈夫です)。もし、どうしても指定医療機関以外の病院にかかりたい!ということであれば、10割請求されるので注意が必要です。
➂整骨院、整体は行けない
医療扶助は治療を目的とした医療は受けられますが、整骨院や整体院などの緩和的なものは原則受けられません。例外として専門医からの指示があれば、整体院などで緩和施術を受けられます。
➃医療券(チケット)をもらわないといけない
福祉事務所に行って、申請をし、許可を得てから医療券をもらってから診察してもらうので、かなり時間と手間がかかります。また、医療券は常に携帯していることができないのもデメリットと言えるでしょう。
「生活保護になるのは嫌だけど、医療扶助だけ受給したいなぁ」というような話を聞きますが、確かに医療費の負担は大きいですよね。生活保護には医療扶助を始め、生活扶助、住宅扶助など色々な項目があります。その全部を支給してもらう方、足りないお金だけを扶助してもらう方など様々なケースがあり、足りないものを「単給」(医療扶助のみなど、ピンポイントで支給)する方もいらっしゃいます。多少の収入はあるけれど、医療費になると負担が大きく支払えないなどの場合は、福祉事務所に申請すれば医療扶助のみ負担してもらえることもあります。まずは、福祉事務所に相談してみましょう。
「出ます!」
病院に一度行って治る病気や怪我だといいですが、一度きりで終わるというのはそんなにありません。結果、病院に通ったり、薬局に行く費用を負担しないといけません。こういった「移送費」も扶助してもらえます。ただし、基本的には通常の電車やバスなどの交通機関を使う必要があり、タクシーを使えるのはかなりの例外。病院へ行くまでに交通機関が無い場合は、タクシーが認められることもあります。
「できます」
国民健康保険が免除されている生活保護者ですが、医療券を使って訪問看護を受けられます。もちろん自己負担をする必要はありません(訪問看護により発生した交通費は扶助対象外です)。